
為替や株式もちろんETFでもおなじみのチャート。家ではパソコン、外出中はスマホでいつもなんとなくチャートを眺めているけど「具体的にどう見るのかわからない」なんていう人も多いと思います。
今回はそんなチャートの基本的な見方に加えチャート発する売買サインについてご紹介いたします。チャートの見方がわかれば、相場が上がりそうなのか下がりそうなのかといった傾向がわかり「安そうだから」とか「高そうだから」といった「値ごろ感」での売買を減らせます。
また、チャートの見方は株式・為替・コモディティ・債券、もちろんETFでも同じです。1回覚えてしまえば色々な資産クラスで利用できます。取引を始める前には、是非、覚えておいてくださいね。
1 株価のチャートはローソクで作られる
個別株やETF・FXなどを取引する際に欠かせないのがチャート。ここではこのチャートの基本的なことをお伝えいたします。

上のチャートは、2007年から2017年までの日経平均株価のチャート(=価格の推移を示したグラフ)ですが、形が火を灯すローソクに似ているのでローソク足と呼ばれています。
1-1 ローソク足の作り方と色の違う2つのローソク足

ローソク足は、4つの価格(四本値)で作成されます。
・始値(はじめね)
相場が始まったときの価格
・高値(たかね)
一定期間の最高値
・安値(やすね)
一定期間の最安値
・終値(おわりね)
相場が終わったときの価格
また、終値が始値に比べて上がっていれば「陽線(ようせん)」、下がっていれば「陰線(いんせん)」と色分けして作成されます。
1-2 チャートの期間(月足や5分足など)

1つ1つのローソク足を作成する始値・高値・安値・終値をどの時間を元にするかによって、年足(ねんあし)・月足(つきあし)・週足(しゅうあし)・日足(ひあし)・1時間足などがあります。
個々の投資家の取引スタンスで見るべきチャートは異なります。
例えば、デイトレーダーなら月足や年足チャートを見ても短時間の予想は立てにくいためあまり取引の役に立ちませんし、長期投資をされる方なら1分足チャートを見ても今の値動きの推移を細かく知ることができても過去の相場の推移や現在の価格水準は把握しづらく長期的な相場の予想もしにくいです。
取引のスタンスにあったチャートを見るようにしましょう。
・デイトレーダーやスキャルパーなど
超短期的な売買
1分足・5分足・15分足・・など
・スウィングトレーダー
(数日から数週間)短期から中期での売買
日足・週足・・など
・長期投資家
(1年以上数年の長期投資)
週足・月足・・など
2 ローソク足で今後の値動きを予想する
ローソク足の作り方がわかったところでそれをどう取引につなげるのかが次の課題になります。
相場分析にもいろんな方法がありますが、今回のローソク足についても1つ1つのローソク足の形や大きさをもとに今後の値動きを予想することができるといわれています。
2-1 ローソク足で予想する相場動向 - 考え方 -
それではまずはじめにローソク足を見て今後の相場動向をイメージする際の考え方について2つの例をもとにお伝えします。
2-1-1 大きな上昇のローソク足=大陽線

例えば上のチャートのように、それまでは小幅な値動きで推移していた相場において楕円で囲ったような大きな上昇のローソク足(大陽線)が現れたとすれば、その後の相場はさらに上昇しやすいと考えます。
このローソク足が現れる前までは、売買はこう着状態だったと考えられますが何らかの相場の上げ材料などによって買いの圧力が強くなり、この大きな上昇のローソク足が現れたと考えられます。
走っている車も急には止まれませんが、勢いがある相場も急に止まれませんのでその後も相場は上がりやすいということです。
※このときに注目しておく点は、それまでのローソク足の大きさや点線で示した過去の高値を価格が越えてきているかどうかです。それまでの値動き(ローソク足の大きさ)が小さければ小さいほど、これまでに比べて値幅の大きなローソク足(大陽線や大陰線)は、相場が勢いづいたと考えられます。
2-1-2 上下の値幅が小さなローソク足=小陽線・小陰線など

それまでの相場がある程度値動きのある中で、上の楕円で示したような小さな値動きのローソク足が現れたとします。
これは市場に参加している投資家が相場の方向感を読めずにその価格水準で売買がこう着している状況だと推測できます。
逆に言えば、相場がこの水準から上がるのか下がるのかを待っている状態ともいえます。
したがってこのような小さな値幅のローソク足が出現した際には、相場がその水準の高値か安値のどちらを超えるのかを見極めてから超えた方向に取引するというのがセオリーです。
※ローソク足から今後の相場動向を探る際には、そういった値動きになったニュースが何かも重要ですが、それ以上に市場参加者の心理状況がどのようになっているのかをイメージしながら予想・取引するようにしましょう。
また、上の2つのイメージでは、チャート上の高値や安値に水平線(点線)を引いています。こういった価格水準を相場が超えるような場合、相場が勢いづく可能性があります。これについては「FXや株の売買でトレンドラインをどう使うのか?ラインの引き方と売買の仕方」で詳しくお伝えしていますので是非ご覧ください。
2-2 ローソク足でイメージする相場動向 - 一覧 -

下の一覧は上で解説したローソク足の主な形状とその名称、また、そこからイメージされる今後の相場予想です。
相場予想については過去の傾向からそうなりやすいという一般的なローソク足についての解釈になり必ずしも予想どおりになるとはいえませんが、市場の心理動向(市場参加者の総体的な心理状況や相場の雰囲気)をイメージする上ではとても重要です。
2-3 ローソク足から相場予想をする上での注意点
ここまで個別のローソク足から予想される今後の相場動向についてお伝えしてきました。


そしてその際に一番注意する点は、ローソク足の1つだけを見て判断するのではなく、そのローソク足が形成されるまでのローソク足の大きさや相場動向など全体を俯瞰してローソク足を見るようにすることです。
例えば、現在のローソク足が「大きな値幅で上昇しているローソク足(大陽線)だから上がるだろう」ということではなく、その手前までのローソク足が下の図のように同程度の値幅なら、大陽線だから上がるとは予想できないということです。
このチャートからは「今は大きな値幅のレンジ相場」と読み取れ、目先はこのレンジ内での動き、その後、レンジを越えた方向に相場が動きやすいというイメージになります。
木を見て森を見ずともいいますが、全体的な相場の動向やそれまでのローソク足の大きさなどとも比較して、市場の雰囲気を掴み取るようにしましょう。
3 チャートの見方の基本と取引への活用
チャートは相場の大きな流れを知るために長い時間軸のものから、実際に取引をする短い時間軸のものへという順に見いきます。
また、取引においては相場の流れ「トレンド」に逆らわないことが基本です。
3-1 月足→週足→日足の順でチャートを見る
一例ですが「月足→週足→日足」といった流れでチャートを見ます。長期的な相場の流れを確認してから取引するチャートを見るという具合です。
車でカーナビを使い遠出をするケースを思い描いてください。広い地図で大雑把にどんな経路で目的地に到着するのかを確認し、実際の運転中はもう少し小さい地図で現在の状況を確認すると思います。チャートを見る場合もこれと同じです。
3-2 相場の流れに逆らわない取引をする
取引において、できるだけ安い価格で買ってできるだけ高い価格で売りたいという気持ちは当然です。
しかし、実際は「相場が安値を更新して下がっていたのでもう底値だろうと思い買ったがその後も下がり続けてしまった」や、その逆で「相場が年初来高値を更新して上がっていたのでもう天井だろうといって売ったがその後も相場は上昇を続けた」という経験を多くの投資家がされています。
チャート分析の基本は価格の水準(天井か底値か)を見ることよりも、相場がどちらに向かっているのか、具体的には上昇傾向なのか、下降傾向なのかになります。
Trend is your friend.
ウォール街の格言です。相場の流れに逆らわず、トレンドに沿った取引をするということが重要です。
4 まとめ
今回はチャート、その中でも一番身近なローソク足チャートの基本的な見方をお伝えいたしました。ローソク足チャートは日本発祥で、欧米のバーチャートやポイント&フィギュアなどと比べるととても見やすいチャートです。

【バーチャート】

【P&F(ポイント&フィギュア)】
ちなみに、日本ではローソク足の陽線は白抜きや赤、陰線は黒や青で作成されることが多いのですが、ローソク足の利用者が多くなっている海外では陽線を緑色で陰線を赤で作成されていることが多く、どちらかというと日本とは真逆の色調になっているので日本風のローソク足チャートに見慣れていると海外風の色調のローソク足チャートはちょっと見にくい印象があります。
【米Yahoo!ファイナンスのローソク足チャート】

※陽線が緑、陰線が赤で作成されています。
海外の金融ポータルサイトなどを見る際には、ローソク足の色の違いなどにも注目してみてくださいね。