
■FOMC
12月14日(水)、今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)が閉会となり声明文が発表されました。
そこでは大方の予想通り0.50%の利上げが宣言され、米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは4.25~4.50%になりました。
なお0.50%という利上げ幅は前回の0.75%より小さい引き上げ幅であり、連邦準備制度理事会(FRB)は引締めを手加減し始めたと理解することが出来ます。
連邦準備制度の資産を圧縮する、いわゆるQTプログラムも以前に発表されたペースで続けてゆくことが確認されました。
■経済予想サマリー
今回のFOMCではFRBメンバーが思い思いに将来の政策金利や経済指標がどうなる? ということをアンケートに書き込む経済予想サマリー(SEP)が添付されました。
それによるとフェデラルファンズ・レートのコンセンサス予想は下のチャートのようになっています。

2023年末のFFレートがどうなる? という点が市場参加者の最も注目するポイントでしたが、それは市場予想をやや上回る5.1%でした。
これに関しては先週発表された11月の消費者物価指数が前年同月比+7.1%というマイルドな数字だったことを受けてコンセンサスの数字が5%以下になることを予想する向きもありましたがそうなりませんでした。
記者団との質疑応答の中で「このアンケートは消費者物価指数の発表の前に取られたものか?」という質問が出ました。普通、アンケートは2日間に渡るFOMCのディスカッションの前に提出されるというのが市場参加者の理解になっているからです。かつて議長を務めたベン・バーナンキも過去の記者会見でそういう説明をしたことがあるからです。
しかしパウエル議長は「FOMC期間中に今回のような重要指標の発表があれば、FRBメンバーは自分の提出したアンケートでの予想数字を訂正するチャンスが与えられる」と言明しました。
市場参加者はこれを聞き(そうか!訂正するチャンスがあったにもかかわらず敢えてみんな高いFFレートの数字を残したのだな)と、これをタカ派に解釈しました。このやりとりの直後に少しマーケットが売られたのはそのような理由によります。
しかし、その後のやりとりの中でパウエル議長が「今回CPIが良い数字で入ってきたこともありFRBは良いポジションにつけていると感じている」と発言したことで投資家の気持ちはなだめられました。
■まとめ
今回のFOMCではサプライズは殆どありませんでした。二か月連続で消費者物価指数が市場予想を下回る伸びだったことを受けてFRBはかつて感じていたような焦りはもう感じていないことが記者会見からも伝わってきました。
2月1日のFOMCでは、さらに利上げ幅が縮小され+0.25%になる可能性が強まったと言えます。
その後はとうぶんの間、FRBはFFレートを横ばいにすると予想されます。
これで今年のマクロ経済面での重要イベントは全部出尽くしたので投資家は安心して株を買うことが出来ます。
年末のS&P500指数はこれまで通り4200をターゲットに見ています。