
投資は自分に合った方法を選ばないと資産を増やすどころか目減りさせてしまいます。個人が資産を増やそうと考えたとき、代表的な投資方法である株式投資か、短期間でも利益を狙えるFXかで迷う人も多いでしょう。両者は資産を増やすという目的こそ同じですが、投資対象や取引時間など細かな違いがたくさんあります。
そこで本記事ではFXか株式投資かで迷っている人に向けて、2つの違いを徹底解説。メリット・デメリットを含め、向いている人の特徴を紹介するので、自分に合った投資方法を見つける参考にしてください。
FXと株式投資はどっちがおすすめ?それぞれの違いとは
FXと株式投資には次のような違いがあります。
■FXと株式投資の違い一覧
項目 | FX(外国為替取引) | 国内株式投資 |
投資対象 | 各国が発行する通貨 | 企業が発行する株式 |
取引時間 | 24時間 | 平日9:00~15:00 ※11:30~12:30を除く |
レバレッジの大きさ・有無 | 最大25倍 ※個人が国内FX会社を利用する場合 | 現物株:なし 信用取引:約2~3倍 |
インカムゲイン | あり(スワップポイント) | あり(配当金) |
最低必要資金 | 数千円~ | 現物株:数万円~ 信用取引:30万円 |
税制 | 自分で源泉徴収・確定申告 | 証券会社に源泉徴収を依頼 |
相場の変動要因 | 各国の金融政策や経済状況 | 企業の業績 |
それぞれの違いについて、次項から詳しく見ていきましょう。
関連記事:FXのデイトレードとは?メリットやデメリット・向いている人の特徴
投資対象

FXと株式投資では投資する対象が異なり、FXでは世界各国で流通している通貨が対象なのに対して、株式投資は証券取引所に上場している企業が発行する株式を対象に投資を行います。国内上場企業は約3,800社あるため、株式投資は投資先を選ぶのにも時間や手間がかかりますが、FXの場合は、FX会社が取り扱う通貨ペアが30個ほどなので、取引対象で迷う可能性は低いでしょう。
取引時間
FXは営業日であれば24時間取引が可能です。一方、株式投資は株式市場がオープンしている平日9:00~15:00の間で取引ができます。
取引時間 | |
FX | 24時間 |
国内株式投資 | 平日9:00~15:00 ※11:30~12:30を除く |
株式投資で取引できるのは平日、日中の5時間のみです。そのため、日中のその時間に仕事などがある人は手が出しづらい投資方法です。PTS(私設取引システム)を利用すれば夜間での取引も可能になりますが、売買ともに注文数が少なく、また注文方法も限られてくるため約定しづらいというデメリットがある点には注意が必要です。
その点、FXはほぼ24時間と取引時間が長いため、日中は仕事で時間が取れないサラリーマンの方や、家事で忙しい主婦の方でもチャレンジしやすいでしょう。ロンドン市場が開場しているロンドン時間(日本時間の7時〜午前2時)は値動きが激しい傾向があるため、短期取引で利益を狙う副業トレーダーにもおすすめです。
レバレッジの大きさ・有無
レバレッジとは元本を担保にして、元本の数倍以上の取引を行うことです。
最大レバレッジ | |
FX | 25倍 |
国内株式投資(現物) | なし |
国内株式取引(信用) | 2~3倍 |
たとえばFXの場合は、100万円を担保に2,500万円の取引も可能。このレバレッジの大きさにより、少ない元本で大きな利益を狙えるのがFXの魅力の1つと言えます。ただし、レバレッジを大きくかけすぎると、その分リスクも大きくなるので、取引に慣れるまでは低いレバレッジでチャレンジしましょう。
インカムゲイン(狙える利益の種類)

インカムゲイン(Income Gain)とは、資産を保有している間に発生する利益のことです。FXではスワップポイント(2国間通過の金利差)、株式投資では配当金がこれにあたります。インカムゲインのほかに、資産を売買することによって利益を得るキャピタルゲイン(Capital Gain)があり、キャピタルゲインを含めると、FXと株式投資で利益を得る方法には次のような種類があります。
インカムゲイン | キャピタルゲイン | |
FX | スワップポイント | 売却益 |
株式投資 | 配当金、株主優待(日本株) | 売却益 |
大きな違いとしては、FXのスワップポイントは毎日付与されますが、株式投資の配当金は年1~2回支払われる点です。また、配当金や株主優待は、企業の業績に応じて減ることはありますが、マイナスに転じることはありません。一方でFXのスワップポイントはマイナスに転じることがあるため、損失が発生する可能性も否めません。いずれの投資でもインカムゲインだけで生活している投資家も存在していますが、インカムゲインだけでの生活を実現するには、それ相応の投資額が必要です。
最低必要資金

FX会社では最小取引単位が設定されており、会社によっては1,000通貨(数千円~1万円程度)から取引を開始できます。それに対して、株式投資では投資先の企業が設定する株式の価格が必要です。株式は100株単位で売買されるので、たとえば1株5万円の場合は、500万円の資金が必要になります。
FXが少額で取引を開始できる理由は、元本の最大25倍の取引ができるレバレッジ制度があるからです。この制度のおかげで元本は少額でも必要な資金を調達できるため、少額からでも取引が可能になります。ただし、最大値である25倍のレバレッジをかけてしまうと、利益率も大きくなりますがその分リスクも高くなるため、低めのレバレッジから取引を開始するようにしましょう。
レバレッジの倍数に対して必要な資金の例は次のとおりです。
■必要資金の例(1ドル=100円取引した場合)
なし | 5倍 | 10倍 | 25倍 | |
10万通貨 | 1,000万円 | 200万円 | 100万円 | 40万円 |
1万通貨 | 100万円 | 20万円 | 10万円 | 4万円 |
1,000通貨 | 10万円 | 2万円 | 1万円 | 4,000円 |
税制
FXは雑所得、株式投資は譲渡所得・配当金になり、適用される税制が異なります。税率はFXも株式投資も20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)で同じです。
株式投資の場合は、口座開設の際に「特定口座(源泉徴収あり)」を選択していれば、証券会社に源泉徴収を委託できます。
一方でFXは年間の利益が20万円を超えた場合は、確定申告が必要になります。サラリーマンかつ給与以外の所得が20万円以下の場合は確定申告を行う必要はありません。ただし、確定申告を行うことで翌年に損失を繰り越し可能。翌年の利益と相殺ができる点を考慮すると、20万円以下でも確定申告を行っておいた方が良いとも言えるでしょう。
相場の変動要因

FXと株式投資では相場の主な変動要因も異なります。FXの場合は、通貨の値動きなので、取引している通貨を発行している国の金融政策や経済状況などによって相場が変動します。株式投資の場合は、企業の業績や将来性などが相場の変動に影響を与えます。
両者とも特に重要なのが、次の指標です。
FX | 国内株式投資 |
・雇用統計:失業率などの雇用に関する ・統計消費者物価指数(CPI):消費者が購入する商品の小売価格の変動指数 ・国内総生産(GDP):一定期間内に国内で産出された付加価値の総額 ・政策金利:FOMC(アメリカの金融政策を決める会合)やECB(ユーロ圏の金融政策を決める中央銀行)など | ・消費者物価指数(CPI):消費者が購入する商品の小売価格の変動指数 ・国内総生産(GDP):一定期間内に国内で算出された付加価値の総額 ・小売売上高:小売り業者とサービス業の売上高の集計 ・鉱工業生産指数:鉱業と製造業の生産量を表す指数 ・景気動向指数:30の景気指数を元に算出される指数 |
FXにしても株式投資にしても、政治や経済が大きく絡んでくるので、ニュースに関心を持ち日頃からよくチェックしておく必要があります。
FXと株式投資のメリットの比較
FXと株式投資のメリットは次のとおりです。
■FXと株式投資のメリット
FX | 国内株式投資 |
・レバレッジをかけることによって元本が少額でも大きな金額の取引ができる ・売り・買いの両方にチャンスがある ・スワップポイントでインカムゲインが狙える ・取引手数料が安い ・取引時間が長い | ・配当金がもらえる ・株主優待を受けられる ・議決権がもらえる ・信用取引の場合は、売ることもできる |
FXでは少ない資金で大きな金額の取引ができます。数千円からでも開始できるので、まとまった資金が必要な株式投資に手が出ない人や短期間で大きく儲けたい場合におすすめ。ただし、先にも説明したとおりレバレッジをかけ過ぎるとリスクも大きくなるので注意しておきましょう。また、売り・買いどちらのポジションからでも取引を開始できるため、為替の上昇・下落の両面において収益のチャンスがあるのもメリットです。
一方、株式投資は長期保有することで配当金や株主優待などのインカムゲインを得られるうえに、議決権を得られるので、企業の経営方針に対して賛否の意思表明ができます。ただし、単元未満株など、議決権を得られないケースもあるので、その点は留意しておきましょう。また、信用取引の場合は、売却して利益を得ることも可能です。
FXと株式投資のデメリットの比較
FXと株式投資にはそれぞれ次のようなデメリットがあります。
■FXと株式投資のデメリット
FX | 国内株式投資 |
・レバレッジを大きくすると損失も大きくなる可能性がある ・スワップポイントを支払うケースもある ・予想が外れると大きな損失を被る | ・取引時間が限定的 ・初期費用が高い ・銘柄を選ぶのが難しい |
FXの魅力とも言えるレバレッジは大きくかけてしまうと、損失も大きくなります。また、スワップポイントはプラスポジションをキープできている場合は良いですが、マイナスに転じることもあるため、損益が出る可能性も否めません。
株式投資の場合は、数万円から数百万円の資金が必要になるなど、初期投資の高さがネックになります。また、株式投資は銘柄が多く、選択肢が豊富であるため初心者には少々難しいという点はデメリットと言えるでしょう。
FXと株式投資のどっちが向いている?
これまで紹介した特徴を踏まえて、FXと株式投資が向いている人の特徴をそれぞれ紹介します。FXも株式投資も短・中・長期的に運用できる投資方法ですが、FXは短期的にお金を増やして日常生活の豊かさを上げたい人におすすめです。一方、株式投資は中長期的に資産を増やしたい人におすすめの投資方法です。
ただし、投資はあくまで余剰資金で行うのがセオリーなので、必要資金が足りない人や値動きが気になって私生活に支障がでそうな人は、いずれの投資方法もおすすめできません。
FXが向いている人の特徴
次のような人はFXに向いていると言えます。
- 日中忙しくて時間が取れない人
- 短期的にお金を増やしたい人
- 資金が少ない人
- 海外の情報に詳しい人
- 値動きに対して冷静を保てる人
FXは24時間取引可能な点や、大きくレバレッジをかけられるといった点を踏まえて、サラリーマンや主婦など日中時間が取りづらい人や短期的にお金を増やしたい人、資金が少ない人に向いている投資方法です。また、外国の通貨を扱うため、投資先の国の経済状況や金融政策などの情報に詳しい人は有利と言えるでしょう。
さらにFXで重要な「損切り」には冷静な判断力が必要です。「まだ利益が増えるかもしれない」「いつかまた持ち直すかもしれない」といった希望的観測ではなく、あらかじめ決めておいたルールに沿って決断できる人こそ、損小利大を実現できます。
株式投資が向いている人の特徴
株式投資は次のような特徴を持つ人に向いていると言えるでしょう。
- 中長期的に資産を増やしたい人
- 特定の企業や業界に詳しい人
- 流行を追ったり、世の中の動向を分析したりするのが好きな人
- 企業の財務分析ができる人
株式投資には複利効果と呼ばれる効果があり、元金で得た利益をそのまま投資に回すと、雪だるま式にその利益がさらに利益を生み出していきます。そのため、株式投資は中長期間保有しておくのが一般的。たとえば教育資金や老後資金などを貯めるために、中長期的に資産を増やしたい人におすすめです。
企業の業績によって相場が左右する株式投資では、特定の企業や会社に詳しい人は有利になります。さらに財務分析ができれば、より優良な銘柄を見つけやすくなるでしょう。これらに加えて流行に敏感な人や世の中の動向を分析して、予測を立てるのが好きな人も株式投資に向いていると言えます。
FXと株式投資をおこなう手順
FXと株式投資は、それぞれ次の手順で取引を行います。
【FXをおこなう手順】
- 資金を用意する
- FX会社を選ぶ
- FX用の口座を開設する
- 入金手続きをする
- 通貨ペアを選ぶ
- 数量とタイミングを確認して購入する
- タイミングを見て売却する
【国内株式投資をおこなう手順(現物株の場合)】
- 資金を用意する
- 証券会社を選ぶ
- 株式投資用の口座を開設する
- 銘柄を選ぶ
- 購入数・タイミングを見て株式を購入する
- タイミングを見て売却する
FXも株式投資も取引開始の手順はほぼ同じです。FXではFX会社によって取り扱っている通貨ペアや通貨ペアごとのスプレッド(手数料)が異なるので、その点もしっかり確認して選ぶようにしましょう。同じく株式投資では証券会社によって取引手数料などが違うので、よく比較して選ぶことをおすすめします。
FXと株式投資をおこなう際の注意点
FXと株式投資をおこなう際には次の3つの点に注意が必要です。
- 損益通算できない
損益通算とは同一年分で出た利益と損失を相殺することです。FXと株式投資、それぞれで得た利益は「先物取引にかかる雑所得」と「株式等の譲渡所得等」で、別の所得区分に分類されます。そのため、FXで出た損失を株式投資で出た利益で相殺することはできないため、損益通算による節税は望めません。逆もまたしかりです。
- 余剰資金で行う
生活費や貯蓄費から投資資金を捻出してしまうと、損失が大きくなったときに生活や将来設計が立ちゆかなくなります。また、「絶対負けられない」という気持ちが強く働き、冷静な判断ができずに大損をする可能性が高くなるので、FXも株式投資も余剰資金を使って行うことをおすすめします。
- レバレッジ=リスクの大きさ
レバレッジは資金効率を良くするための制度であり、少額の元手を大金に変えてくれる魔法ではありません。レバレッジは大きくかければかけるほど、ハイリターンも望めますがハイリスクにもなります。そのため、特にFXではレバレッジのかけすぎに注意が必要です。
まとめ
FXは短期間で資産を増やしたい人、株式投資は中長期で資産を増やしたい人におすすめです。ただし、資産に余裕がない人や、冷静な判断に欠ける人はいずれの方法でも大損する可能性があるので投資自体おすすめできません。特に投資初心者のうちは右も左も分からずに投資してしまうと、苦い経験となる確率が高くなるので注意が必要です。
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FXはさまざまな知識を得る必要があるため、はじめやすいとはいえ、投資初心者の方には難しい側面もあります。投資に興味があるけど損失が大きくなるのが怖いという方はぜひ、「トライオートFX」で感情に左右されない安全性の高い取引を狙いながら、FXや投資について学んでみてはいかがでしょうか。