FXの取引時間は何時から?市場別の時間帯や為替取引が活発になるタイミングも

FX取引は、平日ほぼ24時間トレードできる点が大きな魅力です。本記事ではFX市場の取引時間帯や仕組み、各市場の特徴などを詳しく解説し、時間帯ごとに適したトレード戦略や注意点を紹介します。多忙なサラリーマンや主婦(主夫)、自営業者など、さまざまなライフスタイルを持つ方が自分に合った取引時間を見つけ、効率的かつ安全に取引を行うための知識を得られるでしょう。

FX市場の取引時間と基本的な仕組み

FX(外国為替証拠金取引)は、株式市場などとは異なり、平日ほぼ24時間取引できる特性があります。これは世界各地の外国為替市場で絶え間なく売買が行われ、参加者が異なる国や地域で時差を活かしながらトレードを続けられるためです。

さらに、FXには銀行間で直接取引を行うインターバンク市場と、FX会社を介して個人投資家や法人が取引を行う対顧客市場の両方が存在します。実際にトレードする際は、口座を開設しているFX会社のシステムを利用して注文を出す仕組みであるため、取引開始・終了の時刻が微妙に異なる点も把握しておくとよいでしょう。

FXが24時間取引可能である理由

世界中にある外国為替市場が連続的に開いているため、FXは平日ほぼ24時間取引できます。

アジア(東京など)やヨーロッパ(ロンドン)、アメリカ(ニューヨーク)といった主要地域の市場が時差によって順番に立ち上がることで、閉まるタイミングが重なりにくい仕組みです。

加えて、外国為替市場は証券取引所のように特定の建物を拠点とせず、電話やインターネットを介して世界の金融機関や投資家同士が取引を行います。

こうした背景により、平日中はどこかの市場が開いているため、ほぼ途切れることなく取引が可能です。

取引できる曜日と時間帯の概要  

FX取引が可能な曜日は、基本的に月曜の朝から土曜の朝までとされています。多くのFX会社では、月曜午前7時頃にマーケットが開き、土曜午前7時頃に閉まるのが一般的です。したがって平日であれば祝日でも取引可能になります。

ただし、祝祭日の扱いやシステムメンテナンスの時間帯はFX会社によって異なるので、必ず自分の利用する会社の取引時間を確認しましょう。

基本的な目安としては、取引時間は月曜朝7時~土曜朝7時と覚えておくと便利です。

標準時間と夏時間(サマータイム)の違い

欧米ではサマータイム(夏時間)を導入しており、3月中旬から11月初旬(おおむね3月の第2日曜日~11月の第1日曜日)までの期間は、時刻を1時間早く進めます。

そのため、ニューヨーク市場やロンドン市場の取引時間も日本時間換算で1時間早まるのが特徴です。たとえば、ニューヨーク市場の取引時間は通常22時頃~翌7時頃が取引の中心ですが、サマータイム期間中は21時頃~翌6時頃になります。

こうした切り替えはFX会社の取引時間にも反映される場合があるため、夏時間と冬時間(標準時間)の導入日程を確認し、タイミングに合わせてトレード計画を調整することが大切です。

インヴァスト証券のトライオートFXの取引時間は、通常月曜日午前7時~土曜日午前6時までですが、米国サマータイム期間は月曜日午前7時~土曜日午前5時に変わります。

取引できない時間と日にちの特徴

平日ほぼ休みなく続くFX取引ですが、土曜日と日曜日には取引が行われないのが一般的です。多くの場合、土曜の朝7時頃にクローズし、次の月曜朝7時頃まで再開しません。

元日(1月1日)も多くの金融機関が休業となるため、実質的に取引できないケースが多いでしょう。年末年始のスケジュールについては、各FX会社のサイトチェックする必要があります。

また、FX会社によってはシステムメンテナンスを行う時間帯があり、取引ができない場合があります。取引が行われていない間も為替レートは変動し続けるため、週明けや休み明けに相場が大きく動くリスクがある点にも注意してください。

世界の主要市場と時間帯別の特徴

外国為替市場は世界各地に存在しますが、特にウェリントン(ニュージーランド)・シドニー(オーストラリア)、東京(日本)、ロンドン(イギリス)、ニューヨーク(アメリカ)の5都市を中心に活発な取引が行われています。

これらの市場名は、実際には地域を指す呼称として使われることが多く、それぞれの時間帯に活発な動きが見られることが特徴です。また、市場が重なる時間帯は取引量が増えやすく、値動きも大きくなる傾向があります。参加者が多い地域ほど、取引の中心となる通貨ペアも異なるため、戦略面での工夫が必要になるでしょう。

参考:一般社団法人 金融先物取引業協会|FFAJの学ぼう!FX #6 取引時間についてをもとに作成

ウェリントン・シドニー市場の取引時間

ウェリントン・シドニー市場は、日本時間で5時~15時頃が主な取引時間帯です。

週明け最初に動き始めるのがこの市場であり、週末のニュースや出来事に真っ先に反応するという特徴があります。ただし、特に朝方の5~8時頃は参加者が少なく、値動きも限定的です。注文が少ないため、一瞬でレートが大きく動くリスクがあり、初心者には扱いが難しい時間帯といえます。

東京市場の取引時間

東京市場は日本時間の8時~17時頃が取引の中心です。米ドル/円など円を絡めた通貨ペアの流動性が高まり、仲値※1が確定する9時55分前後ではドル買いが活発になるケースが多く見られます。

また、5日・10日・15日・20日・25日・30日といった「ゴトウ日」には企業の実需※2などが加わるため、値動きがやや大きくなることがあります。

日本国内のニュースや経済指標も相場に影響しやすく、比較的値動きが読みやすい時間帯といえるでしょう。

※1:金融機関が顧客と外国為替取引を行う際に使用する、為替レートの基準となるもの
※2:投機(為替取引で利益をあげようとする取引)ではなく、貿易や資産の取引に基づく需要のこと

ロンドン市場の取引時間

ロンドン市場の主な時間帯は、日本時間の17時~翌2時頃にかけてです。

世界最大の外国為替市場とされ、国際通貨研究所のレポートによれば世界全体の約4割もの取引量を占めると報告されています。

ユーロやポンドを中心に多彩な通貨ペアが取引されますが、19時頃は欧州勢の昼休みにあたるため、一時的に値動きが落ち着く傾向があります。

欧州関連の重要指標や政治的ニュースが出ると、相場が大きく動く可能性があるため、こまめに情報収集を心がけましょう。

参考:公益財団法人 国際通貨研究所 国際通貨研レポート 2022 年 BIS 世界外国為替市場調査について ~中国人民元が取引シェアで世界第 5 位の通貨に~

ニューヨーク市場の取引時間

ニューヨーク市場は日本時間の22時~翌5時頃が中心であり、米ドル/円やユーロ/米ドルといった主要通貨ペアが盛んに取引されます。

重要なアメリカの経済指標(雇用統計やCPIなど)が発表されるタイミングでは相場が急激に変動することが多く、値動きの大きさに注意が必要です。

特に24時のニューヨークオプションカットや翌1時のロンドン仲値※4といったイベント時間を挟む前後は、意外な方向への急変する場合があります。

※3:オプションの購入者が権利を行使するかどうかを最終的に決定できる時間のこと。日本時間の24時、夏時間であれば23時に集中する傾向がある。
※4:ロンドン仲値(ロンドンフィックス):日本でいう仲値を決める時間・行為のこと。日本時間で午前1時、夏時間であれば24時に行われる。

FX時間帯別の取引戦略とおすすめのタイミング

FXでは、時間帯ごとの取引量や値動きの傾向を踏まえて、トレード戦略を立てることが大切です。

流動性が高い時間帯はチャンスも大きい反面、損失も拡大しやすい面があります。逆に、取引参加者が少ない時間帯は急な価格変動リスクが存在するため、入念なリスク管理が必要です。

自分の生活リズムや相場への向き合い方を考慮しながら、時間帯ごとのメリット・デメリットを理解しておくことがトレード成功の近道といえます。

値動きが活発化する時間帯の狙い方

値動きが活発になる時間帯として、ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる日本時間の22時~翌2時頃が挙げられます。

この時間帯は、取引量が飛躍的に増えるため、値動きが大きく為替差益を狙いやすい時間帯です。FXトレードに慣れている方は、裁量トレードで積極的に利益を狙いにいってもよいでしょう。

ただし、相場の動きが急な方向転換を見せることもあるため、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を活用した新規注文や決済注文のタイミングを見つけることが難しいと感じるFX初心者は、慎重な対応が必要です。

また、この時間帯は重要な経済指標が発表されるケースが多く、発表内容によっては大きく為替レートが動くケースも少なくありません。

経済指標の発表予定を事前に確認し、不安な方はポジションを減らす、あるいは無くす、損切り注文を設定するなどの準備を整えておきましょう。多くのFX会社のサイトでは、主要な経済指標の発表スケジュールを一覧できるものを公開しています。

各市場オープン直後の特徴と効果的な戦略

東京市場が開く8時前後やロンドン市場が動き始める17時頃、ニューヨーク市場がスタートする22時頃は、市場参加者が一斉に参加し始めるため、新規注文が集中して一時的に値幅が大きくなる傾向があります。

こうしたオープン直後の乱高下を狙って、為替差益を狙うことも可能です。ただし、値動きが激しくなると不意の逆行に遭うリスクも高まるため、十分に資金管理を行い、損切りラインを明確にしておくことが大切です。

FX初心者はこうした乱高下する時間帯は避け、市場がオープンして、ある程度値動きが落ち着いてきた段階で取引に参加することをおすすめします。

FXの取引で注意すべき時間帯とリスク管理

FXは取引できる時間帯が長いからといって、常に有利な環境でトレードできるわけではありません。特に流動性が低い時間帯や週末前の金曜日など、相場が不安定になりやすい場面も存在します。こうした時間帯では、急なスプレッド拡大や、為替変動リスクに注意しなければなりません。

慎重なエントリーや早めの利確・損切り設定を行うなど、リスク管理を徹底しましょう。

取引量が少ない早朝のリスクと対策

日本時間の6時~8時頃は、海外勢が取引を終えたあとの時間帯であり、参加者が極端に少ない傾向があります。

流動性が低いことでスプレッドが広がりやすく、思わぬレート変動が起きるリスクがあるでしょう。初心者の方は、この時間帯のトレードをなるべく避けるか、小さな取引単位で様子を見ながら行うのがおすすめです。

取引する場合は、損切ラインを厳しめに設定するなど、損失を限定する工夫が必要になります。

金曜日取引の注意点と安全策

金曜日は週末を控え、多くの投資家がポジション整理を進めることで、為替レートが大きく動く可能性があります。

また、おおむね毎月第一金曜日に発表される※5米雇用統計前後は多くの投資家が注目しており、発表内容次第では大きく為替レートが動くこともめずらしくありません。

さらに、土日を挟む間に世界で重大なニュースが起きた場合、前週の終値と週明けの始値が大きく離れることでローソク足チャート上に「窓」と呼ばれる大きなギャップが生じることがあります。

基本的に、利益確定や損切りを行い、必要以上にポジションを土日に持ち越さないことが大切です。

なお、FXのトレード手法のなかには窓開けを狙うものもありますが、予想外の値動きを示すこともあるため、FX初心者は避けたほうがよいでしょう。

※5:米雇用統計は毎月「12日を含む週」に調査を行い、その「3週間後の金曜日」に結果が公表されるため、結果的に多くの場合、毎月第一金曜日に発表されています。

月末・特定日の相場特性と対応方法

月末になると、機関投資家やヘッジファンドなどの大口投資家が、資産配分や運用リスクを見直す目的でリバランスを行うため、普段とは異なる値動きが発生することがあります。

また、ゴトウ日(5日、10日、15日、20日、25日、30日)は実需でドルが買われやすくなります。こうした相場特性を理解していれば、突然の大きな値動きが生じても冷静に対処できるでしょう。

リスクを避けたい場合は、こうした特定の日の取引を控えたり、ポジションを減らしたりすることをおすすめします。

逆に、その特徴を狙って戦略的に売買を行う方法もありますが、予想外の方向に為替レートが動いたときの含み損も大きくなる可能性がある点には十分注意が必要です。

経済指標発表前後の変動リスクへの備え

政策金利発表や米国雇用統計、CPI、GDPなどの重要な経済指標が公表されると、相場が短時間で大きく上下する場合があります。

また、多くの投資家が経済指標の発表直後の大きな価格変動を嫌って取引を避けるため、重要指標発表前は様子見ムードで為替レートがほとんど起こらないという現象が発生する点も特徴的です。

主要経済指標は事前にチェックして、リスクが高いと判断したらポジションを減らす、あるいは損切ラインを決めておくなどの対策を立てておきましょう。

なお、こうした経済指標は市場予想も同時に掲載されていますが、市場予想はあくまでも参考に過ぎません。市場予想を頼りにトレードをすることは控えましょう。

経済指標の発表を受けて、直後に取引に参加してしまうのもリスクが高い行為です。発表直後はマーケットも方向感を見失って大きく上下することがあるため、少し様子を見るよう心がけてください。

年末年始・クリスマス期間の流動性低下への対処法

年末年始やクリスマス期間は欧米の金融機関が休暇に入ることが多く、市場参加者が極端に減ります。

すると流動性が低下し、スプレッドが拡大したり価格が急変動したりするリスクが高まる傾向があります。

こうした時期は取引を避けるのが無難ですが、ポジションを保有する場合はレバレッジを抑え、損切り注文を入れておくことをおすすめします。

なお、ゴールデンウイークは日本特有の休暇であり、海外勢は通常に取引をしています。ゴールデン期間中に米雇用統計やFOMCなどの発表で大きく価格が変動することもあるため、注意してください。

個人のライフスタイルに合わせたFX取引時間の選び方

FXは平日ならほぼ24時間トレードできますが、実際にずっと相場を見続けるのは現実的ではありません。自分のライフスタイルに合わせ、効率よく取引できる時間帯を選び、長期的に継続できるルーティンを作ることが大切です。

長期的に継続できるルーティンの一例を紹介します。

  • トレードする時間帯は19時から23時までにする
  • 東京時間だけ取引をする
  • 金曜日はトレードを避ける
  • 毎月28~31日以降はトレードを控える

仕事や家事・育児の合間など、空き時間を活用して無理なくトレードできるよう計画を立てましょう。

また、損失が出ると取り返そうと、自身で作ったルーティンを破ってしまいがちです。自身の感情をコントロールする意味でも、一度決めたルーティンを容易に変更することのないよう心がけてください。

サラリーマンに最適な取引時間帯の設定

日中は勤務時間と重なるため、朝の出勤前(6時~7時)、昼休み、そして夜22時以降のニューヨーク市場が立ち上がってからの時間が取引しやすいタイミングといえます。

特に22時以降は取引が活発化しやすく、レートの動きが大きくなるメリットがあります。

通勤中にスマホで経済指標や要人発言の予定をチェックし、実際のエントリーは帰宅後の落ち着いた環境で行うなど、時間の使い方を工夫すると効率的にトレードができます。

ただし、仕事に差し支えることのないよう、過度に深夜まで取引をしないよう心がけてください。

主婦(主夫)や自営業者に適した取引時間帯の設定

家事や育児の合間に比較的自由に時間を取りやすい主婦(主夫)の方は、東京市場(8時~17時)やロンドン市場(17時~)をメインとするスタイルが考えられます。

日本のニュースや仲値前後の動きを狙って短時間でトレードを行うと、効率的に利益が狙えるでしょう。

自営業者であれば、自身の業務スケジュールに合わせて取引時間を調整しやすいため、ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる22時前後を中心に狙うなど、多彩なアプローチを検討できます。

自分に合った取引時間の見つけ方とルーティン化

まずは、自身の生活リズムを洗い出し、いつ相場を確認できるかをリスト化しましょう。

そこに各市場の活発な時間帯を照らし合わせ、自分が無理なく集中できる時間帯を探すのがポイントです。取引時間をある程度固定すると、心身の負担が軽くなり、相場分析の習慣化も期待できます。

さらに、デモ口座を使っていくつかの時間帯を試し、勝ちやすい・負けにくい感覚を掴んでから本番のトレードに移行するのもよい手法です。

最終的には、長期的に続けられる安定したルーティンを築くことが大切になります。

長時間トレードをすればその分利益が狙える可能性は高まりますが、健康面や精神面を考慮すると、あまり望ましいこととはいえません。いつでもトレードができることから、利益確定や損切りが遅れる要因にもなり得るため、自身が集中できる時間を決めて、その範囲内でトレードすることをおすすめします。

まとめ

FXは世界の外国為替市場が時差を利用して連鎖的に稼働することにより、平日ほぼ24時間取引できる点が特徴です。

株式市場とは異なる仕組みのため、サマータイムの影響や週末の休場など、押さえておくべきポイントは多数あります。特に流動性や取引量が変化する時間帯によって、戦略やリスク管理を柔軟に調整することが求められるでしょう。

自分の職業や生活リズムに合わせて最適なトレード時間帯を選び、長期的に続けられるルーティンを構築できれば、FX取引がより快適で安定したものになるはずです。