
■経済指標は概ね予想通り
今月に入ってこれまでに発表された経済市場は概ね予想通りでした。3月10日(金)に発表された非農業部門雇用者数は予想20.5万人に対し結果31.1万人でした。

失業率は予想3.4%に対し結果3.6%でした。
平均時給は8¢の上昇でした

趨勢としてだんだん賃金の上げ幅が下がってきていることが感じられます。
一方、3月14日(火)に発表された2月の消費者物価指数は事前予想に一致する前年比+6%でした。

■先週三つの銀行が破綻
むしろ市場参加者の注目を集めているのは先週相次いで三つの小さな銀行が破綻したことです。それらはカリフォルニア州サンディエゴのシルバーゲート銀行、カリフォルニア州サンタクララのSVBフィナンシャル、ニューヨークのシグニチャー銀行です。
これら三行は目新しいことにすぐに飛びつく軽率な経営がなされていました。シルバーゲートとシグニチャーの場合、仮想通貨関連ビジネスに熱を上げすぎたのが預金者の動揺を招きました。SVBの場合、シリコンバレーのスタートアップ企業をアグレッシブに開拓していたのですが、ホイホイと若い経営者に融資する、長期債のトレーディングで含み損を放置するなどの杜撰な経営であっという間に預金者が逃げてゆきました。
つまり相次ぐ銀行倒産は連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策や銀行行政が拙かったというよりもこれらの銀行の余りに放埓な経営が原因なのです。
■金融コンディションのタイト化は利上げ打ち止めを示唆
しかし一週間に三行もの銀行が破綻したということは今後全米の預金者は(次はどこか?)と不安になり、取り付け騒ぎが起きやすくなることを意味します。それは金融コンディションが今後タイトになることを暗示しておりFRBがこれ以上政策金利を引き締めるまでもなく、金詰り感が経済全体に広がることを意味します。FRBに代わって市場のセンチメントがインフレ退治に必要なブレーキを踏んでくれるというわけです。
そうなのであればFRBはサッサと態度を改め、早期に「利上げ打ち止め」宣言を出すべきです。
利上げが打ち止めになれば株式はこれを好感します。したがって今は株式に対して弱気になるべきではありません。